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インフルエンザ対策 インフルエンザ予防 ニュース
感染症テーマに研究者らがシンポ―「新型」の早期治療や鳥インフル警戒訴え
2009年10月13日(火) |
文部科学省と理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センターはこのほど、「感染症に挑む知のネットワーク アジア・アフリカと共に」をテーマに、「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」成果報告シンポジウムを開いた。インフルエンザをはじめとする世界の感染症の現状について研究者らが発表し、新型インフルエンザについては、早期の診断と治療の重要性を訴える意見などが出された。また、鳥インフルエンザへの警戒を呼び掛ける意見も相次いだ。 シンポジウムは、海外の感染症の現状についての研究報告などから成る第1部と、新型インフルエンザの流行について研究者らが意見交換を行う第2部で構成。このほど来日したラオスパスツール研究所のポール・ブレイ所長による「21世紀の新興感染症の脅威に備える:国際感染症ネットワーク連携の必要性」と題した特別講演も行われた。 第1部では、神戸大大学院医学研究科人獣共通感染症学分野の新矢恭子准教授が、「鳥インフルエンザの流行地インドネシアの実態」をテーマに講演。生鳥マーケットや鶏が放し飼いになっている家庭の裏庭の様子、鶏が豚舎を自由に動き回っていた様子などを紹介し、「人と動物が濃厚に接触する環境がある」と述べた。また、「病原体も共有できる状況」にあるとし、「遺伝子交雑が起これば、別の新型インフルエンザウイルスとなる可能性がある」と語った。 また、国立国際医療センターの工藤宏一郎・国際疾病センター長が、ベトナムにおける鳥インフルエンザの現状について講演。患者の高死亡率の背景には、疾患への理解不足や簡便な診断方法がないこと、抗ウイルス薬の導入の遅れなどがあるとした。また、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの類似点として、診断や治療の遅れが重篤化や死につながっている点などを挙げ、早期の診断と抗ウイルス薬導入が必要だと訴えた。 第2部では、新型インフルエンザにかかわる研究者などがパネルディスカッションを行った。 東大医科学研究所の河岡義裕・感染症国際研究センター長は、新型インフルエンザウイルスは季節性インフルエンザウイルスよりも肺で増殖しやすいとの研究結果について述べ、「(新型インフルエンザに伴う肺炎に)ウイルス性肺炎が多い理由だろう」と語った。また、タミフルを使用していない患者からタミフル耐性ウイルスが検出されたとの報道について、「珍しいことではない」との見方を示し、耐性ウイルスが今後流行するかどうか注視する必要があるとした。新型インフルエンザウイルスの強毒化の可能性については、「起きるかどうか、まだ分からない」と語った。 第1部でも講演した工藤氏は、新型インフルエンザが発生したメキシコで実施した調査の結果について述べ、重症化した患者の特徴として、糖尿病や喘息、免疫抑制薬使用疾患などの基礎疾患がある人や妊婦、小児のほか、コカイン使用者を挙げた。また、貧困や生活習慣などの社会的側面が、診断と治療の遅れを招いたとの認識を示した。さらに、「政府によるタミフル無料配布以降、重症者や死亡者は激減した」と強調した。 一方、東北大大学院医学系研究科微生物学分野の押谷仁教授は、抗ウイルス薬による重症化防止の効果について、現時点では「科学的な根拠がない」状況で、効果への評価は「オブザーベーションレベルのもの」と指摘。また、日本での流行はまだ初期段階にあるとし、重症者の発生状況などが今後どうなるかは、患者がある程度増加してからでないと分からないと述べた。 また、国立感染症研究所の田代眞人・インフルエンザウイルス研究センター長は、新型インフルエンザに注目が集まっているが、「鳥インフルエンザは、この間も収束していない。新型インフルエンザとは無関係に、患者数が増えている」と指摘。公表しないことを条件に、インドネシアは世界保健機関(WHO)に患者数を報告しているが、「(患者数自体は)かなり増えている」と述べ、鳥インフルエンザに対する警戒が必要だと強調した。 |

