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インフルエンザ対策 インフルエンザ予防 ニュース

新型インフルのワクチン接種、多くの課題

2009年10月06日(火)

新型インフルワクチン接種スケジュール

10月中旬から始まる新型インフルエンザ用のワクチン接種を前に、自治体や医療機関の間に「準備期間が短すぎる」などといった困惑の声があがっている。ワクチン接種に関する国の基本方針が示されたのは今月1日。接種開始まで約2週間しかない。優先接種の対象である「持病のある人」をどう選別するのか、海外ワクチンの安全性は大丈夫か-。スムーズな実施に向けた課題は多い。


■財政厳しい…


今月2日、全国の自治体から東京に集められた約250人の担当者に、厚生労働省からワクチン接種の基本的方針が説明された。


「接種を行う医療機関のリスト提出…9日まで」「ワクチンの卸業者への納入依頼…14日まで」「医療従事者への接種開始…19日」。示されたのはタイトなスケジュールだった。


「もっと早く、方針を示してくれていれば、スムーズに準備が進められていたのに」。仙台市の担当者の口からは不満がこぼれた。


所得者への補助に関する財源について、国が正式に提示したのは会議当日。都道府県と市町村が費用の半分をカバーすることになるという。岩手県の担当者は「財政が厳しいのに、これから予算を取れといわれても…」と漏らす。


■保護者に不安


接種が優先されることになる「持病を持つ人」の定義などをめぐり、医療機関が混乱する可能性を指摘する声も出ている。


東京都文京区の診療所「森こどもクリニック」の森蘭子院長も「国が示した定義が分かりにくく、保護者の間に不安が広がっている」と指摘する。「うちの子は優先接種の対象者なのか」-。同クリニックには9月以降、そんな問い合わせが殺到しているという。


日本小児科学会の予防接種感染対策担当理事で防衛医大小児科の野々山恵章(ののやま・しげあき)教授は「かかりつけ医の場合、優先対象外の患者でも頼まれると断りにくい」と懸念。「学会として接種基準を周知する」という。


■公平性に問題も


国産の季節性ワクチンは、重い副作用が100万人に1例程度しかでないとされる。国内で作られる新型ワクチンも、季節性ワクチンと同じ方法で製造されるため、厚労省は安全性も同程度とみている。


一方で輸入される新型ワクチンの副作用発症率には、はっきりしたデータがない。免疫効果を高めるため国産に使用実績のない添加物を使っているうえに、製造法も異なるからだ。


新型ワクチンの接種により、副作用が出た場合の対応にも釈然としないものが残ったままだ。厚労省では、訴訟が起きた場合に、海外の製薬会社に限って免責を決めるなど、公平性の観点から議論が尽くされたとは言い難い。


東大医科学研究所の上昌広特任准教授は「米国では副作用に対する公的補償が充実している。しかし、日本ではそうした仕組みが、十分には整っていない」と指摘している。

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新型インフルのワクチン接種、多くの課題

2009年10月06日(火)

新型インフルワクチン接種スケジュール

10月中旬から始まる新型インフルエンザ用のワクチン接種を前に、自治体や医療機関の間に「準備期間が短すぎる」などといった困惑の声があがっている。ワクチン接種に関する国の基本方針が示されたのは今月1日。接種開始まで約2週間しかない。優先接種の対象である「持病のある人」をどう選別するのか、海外ワクチンの安全性は大丈夫か-。スムーズな実施に向けた課題は多い。


■財政厳しい…


今月2日、全国の自治体から東京に集められた約250人の担当者に、厚生労働省からワクチン接種の基本的方針が説明された。


「接種を行う医療機関のリスト提出…9日まで」「ワクチンの卸業者への納入依頼…14日まで」「医療従事者への接種開始…19日」。示されたのはタイトなスケジュールだった。


「もっと早く、方針を示してくれていれば、スムーズに準備が進められていたのに」。仙台市の担当者の口からは不満がこぼれた。


所得者への補助に関する財源について、国が正式に提示したのは会議当日。都道府県と市町村が費用の半分をカバーすることになるという。岩手県の担当者は「財政が厳しいのに、これから予算を取れといわれても…」と漏らす。


■保護者に不安


接種が優先されることになる「持病を持つ人」の定義などをめぐり、医療機関が混乱する可能性を指摘する声も出ている。


東京都文京区の診療所「森こどもクリニック」の森蘭子院長も「国が示した定義が分かりにくく、保護者の間に不安が広がっている」と指摘する。「うちの子は優先接種の対象者なのか」-。同クリニックには9月以降、そんな問い合わせが殺到しているという。


日本小児科学会の予防接種感染対策担当理事で防衛医大小児科の野々山恵章(ののやま・しげあき)教授は「かかりつけ医の場合、優先対象外の患者でも頼まれると断りにくい」と懸念。「学会として接種基準を周知する」という。


■公平性に問題も


国産の季節性ワクチンは、重い副作用が100万人に1例程度しかでないとされる。国内で作られる新型ワクチンも、季節性ワクチンと同じ方法で製造されるため、厚労省は安全性も同程度とみている。


一方で輸入される新型ワクチンの副作用発症率には、はっきりしたデータがない。免疫効果を高めるため国産に使用実績のない添加物を使っているうえに、製造法も異なるからだ。


新型ワクチンの接種により、副作用が出た場合の対応にも釈然としないものが残ったままだ。厚労省では、訴訟が起きた場合に、海外の製薬会社に限って免責を決めるなど、公平性の観点から議論が尽くされたとは言い難い。


東大医科学研究所の上昌広特任准教授は「米国では副作用に対する公的補償が充実している。しかし、日本ではそうした仕組みが、十分には整っていない」と指摘している。

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